植物性油脂を、劣化しにくく常温で固体を保てるようにする化学処理が「水素添加」です。
「水素添加」は20世紀初頭に開発された方法で、不飽和脂肪酸の水素が足りない場所に、金属触媒による化学変化で強引に水素を結び付けるもの。
通常は、ニッケルを触媒として使用、高圧をかけながら130〜200℃で数時間加熱するようです。
不飽和脂肪酸には炭素の二重結合があり、その部分の炭素には水素がふたつ片側に集まって結合しています。
これがシス型脂肪酸(シス=ラテン語で「同じ側」)で、炭素同士が連鎖しても片側の水素がバラバラに並ぶために結合が安定せず、
液状で劣化しやすい構造になります。
ところが水素添加により脂肪分子に水素原子を加えると、炭素の二重結合が単結合になり水素原子が反対側に移動します。
これがトランス型脂肪酸(トランス=移動)で、水素原子が互い違いの方向に結合しており分子がきちんと整列、安定した構造を持っています。
そのため常温でも固体を保ち、さらに酸化しにくくなることから保存性も高くなります。
水素添加した油脂で加工した食品(クッキーやポテトチップ、揚げ物など)は、水素添加していない油で調理したものよりも変質しにくく、
加工業者には非常に都合のよい原料となります。
また、動物性油脂に比べて安価なこともあって、多くの加工食品に「植物油脂」の原材料名の影にでトランスファットが隠れています。
このように、マーガリンや加工食品に多岐に渡って含まれるトランスファットは、水素添加や長時間高温加熱された場合に生成される人工的なものであり、
天然の植物油には存在しない脂肪酸です。
なお、食物を反芻して消化する牛・羊などの胃の中の微生物によってトランス脂肪酸が生成されるため、バター・チーズ・牛肉・羊肉などの動物性油脂には、
天然のトランスファットが脂肪中の4〜5%存在すると言われます。
ただし、この天然のトランスファットは、トランス型とシス型の混在する共役リノール酸などで、化学合成のトランスファットとは構造が異なるとのことです。
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